2015.12.12
 
アワビは巻き貝?
     福田 茂夫


アワビは巻き貝か?という質問をよく受けます。確かに平べったいあの殻からは巻き貝とは思えないのが当然ですが、よく観察してみてください。殻の中心からやや片寄ったところに小さく巻いた部分が見られます。成長とともに急に大きく広がって殻をつくるためにあのような形になったのですが、巻き貝のグループに入るのです。生まれてまもなくのころはふつうの巻き貝の形をしており、フタまでちゃんとついているのです。
アワビ以上に何回なのがカサガイのなかまです。その名のごとく傘型の殻をつけて岩場などにくっついているのですが、どう見ても巻いている部分はありません。しかし、体の構造かられっきとした巻き貝である事が知られています。どんな世界でも例外というものはいるものです。巻き貝なのに二枚貝?という変わり者がいます。本州南部以南にすむユリヤガイ、タマノミドリガイなどがこれです。体の構造は巻き貝なのに二枚貝の殻を背負っているのです。
 


巻き貝は右巻き?左巻き?  福田 茂夫 2015.11.1UP


 

 もちろん左巻きの種もあります。右巻きの種から突然変異で発生し分化したものと考えられます。タテゴトナシボラ、ヒダリマキイグチガイ、サカマキボラなどはこの代表種です。
 陸上のカタツムリには意外にも左巻きのものが多く、キセルガイのなかまはほとんど左巻きです。
 ふつう右巻きなのに左巻きになってしまったものもまれに見つかります。これは数十〜数百万個に1個という確率ですから大変貴重なものです。
 
 ツブ(普通エゾボラやヒメエゾボラが代表的)の殻をよく観察してみると、殻頂とよばれる先端部から次第に時計回りに巻き下りながら大きくなっているのがわかります。真上から見れば右回転に見えることから、これを右巻きの貝といいます。ふしぎなことにほとんどの貝こうした右巻きの種類なのです。おそらく巻き貝の95%以上は右巻きでしょう。なぜなのかはわかりませんが、地球上に初めて出現した巻き貝がたまたま右巻きだったのでしょうか。


豊浦町の資料館?! 2015.10.31UP 

 
 10/17豊浦町行事、礼文華古道・カムイチャシなどを体験した。古道は明治11年にイギリス人イザベラ・バードが通ったところでもある。バードはその事を「日本奥地紀行」に記している。その時日高まで足をのばしたとある。悪路を行くのはさぞ大変だったに違いない。そんな事を思いながら古道を歩いた。秋晴れの道を歩くのは気持ちがいい。秋の実も味わってもらった。
昼食後、旧礼文華中学校にある、各種資料を見た。まず驚くのは、吹き抜けに5〜6mもある帆船が展示されている。これは福田茂夫氏の手作りとのこと。なかなかの作りである。この船を動かすには、100何十人もの船員が必要とのこと。ちゃんと水夫の人形もある。本物の船の大きさがわかるというものだ。
 この資料館?の中には、世界の貝のコレクション、土器・石器を始め豊浦町に係わる資料が多数置かれている。
普段は無人で、申し込みにより見る事ができる。
       (木村益巳 記)

           福田 茂夫         2015.10.1UP

   
 貝には必ず
殻がある?

  貝といえば殻があるものと考えがちですが、殻のない種も多いのです。その代表はイカやタコのなかまです。
 あの吸盤のついた多くの足と大きな目玉のを持ち、海の中を自由に泳ぎ回る姿からは貝のイメージはありません。でも大昔はりっぱな殻を持った貝だったのです。化石のアンモナイトをご存じですか。実はイカやタコ類はアンモナイトのなかまで進化の過程で殻がなくなったグループだといわれています。
 ほかにもアメフラシやウミウシ、陸上のカタツムリの親戚のナメクジなども殻のないグループです。
 最近、オホーツク海で流氷とともにやってきて、話題となったクリオネもハダカカメガイという殻のない貝の一種として知られています。
 これとは反対に殻があるのに貝でないものもあります。海岸の岩場にびっしりくっついているフジツボという生物をみたことがありますか。上に穴のあいた笠型の殻はどう見ても貝殻としか思えませんが、これはエビやカニのなかまです。貝殻を背負ったヤドカリはどうでしょう。りっぱなハサミを持ったカニのなかまなのです。


2015.9.13UP

   
 不思議な貝
のなかまたち

  みなさんは貝といえばどんなものを思いうかべますか。海にすむ殻をもった動物
 で、ホタテやアサリなどの二枚貝やツブのような巻貝を想像される方が多いのでは ないでしょうか。くらい海底の砂や泥にもぐったり、岩かげでひっそりと暮らす性格
 の暗い生き物のように思われているようです。
  でも赤や黄、緑や紫のあざやかな色の貝殻にさまざまな模様をつけたり、不思
 議な形の貝を見れば暗いイメージは消えてしまうことでしょう。何しろ世界中に貝
 のなかまは10万種以上いるのですから、変わり者も多いのです。彼らは海の中
 だけではなく、湖や川、陸上にもたくさん住んでいます。
  南極や北極の氷のしたの冷たい海、ヒマラヤの高山のように一年の大半が雪
 や氷に覆われているようなところや、砂漠のように何年も雨のふらないきびしい環
 境の中でも住んでいる種類もあるのです。
 クイズの回答

1)タコ(ヤドカリ、フジツボは甲殻類でエビ・カニの親戚
2)10万(動物の仲間では昆虫などの節足動物についで多い)
3)右巻き(左巻きはごくわずか)
4)はい(右巻き。穴は呼吸孔で端の2、3個だけ使う)
5)いいえ(淡水や陸上にもいる。地下水の中に住む種類いる)
6)炭酸ガス(酸を中和するので土壌改良剤)として利用
7)いる(タコ、イカ、ミノガイなど。ホタテも水管から海水を強く吐き出して活発にうごく)
8)ある(外套膜の縁に視点という光を感ずる器官がある。しかし、ものははっきり認識できない)
9)ない(ただし、イカ、タコの仲間のアオイガイやタコブネなどはメスだけ殻をもっている)
10)500(暖かい地域ほど種類が多く、どうなんで400、不根室周辺では100種程度、沖縄では600、フィリピンでは3万種にたっする。

いくつできましたか?全部正解ならあなたも貝博士になれる)



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2015.8.20UP

   
 1回目

☆この冊子を読むまえにちょっと頭の体操を
<<あなたも貝博士になれる!!いくつできるかチャレンジしてみよう>>

1) 次の動物で貝のなかまはどれ?   1.タコ  2.ヤドカリ  3.フジツボ
2)  世界中に貝類はおよそ何種類?  1.1000  2.1万  3.10万 
3) 巻貝は右巻きと左巻きとでは、どっちが多い?  1.右巻き  2.左巻き  3.同じくらい
4)  アワビは巻き貝?   1. はい   2.いいえ
5)  貝は海にしかいない 1.はい  2.いいえ
6)  貝殻に酸をかけると発生するのは? 1.酸素  2.炭酸ガス
7)  貝には自由に泳ぎまわることのできる種類もいる  1.いる  2.いない
8)  ホタテガイには目がある  1.ある   2.ない
9)  貝には雄だけが殻をもっている種類か゛ある  1.ある   2.ない
10) 北海道とその金塊にはおおよそ何種類の貝がいる?  1.100  2.500  3.1000

          答えは次回

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北海道新聞11/30  福田茂夫           2014.12.20UP                  

 
 

小幌海岸探索会 豊浦町教育委員会主催 5/10の様子 2014.6.5up  写真と説明木村

 

全国の3本指にはいる 秘境の駅「小幌」
 
 案内をする福田さん
 
オオカメノキ     シラネアオイも道々に。
 
文太郎浜


 豊浦町の資料館(元礼文華中学校) 殆ど、福田茂夫さん独力の作業で     2014.4.8UP

 

 資料館の圧巻は貝の部屋 福田さん収集のもの
 
 貝の一部



 資料館入り口で説明する福田さん
 

福田さん作成のジオラマ 精密そのもの 羊蹄山・洞爺湖・噴火湾
大きさは3畳
 
福田さん作成5m程度の大きさ
 
 上から見る


福田さん自作のジオラマ(立体模型地図)    2014.2.1UP






 福田さんのジオラマの紹介です。
この写真は豊浦の漁業の説明用。
他に豊浦町全体のもの、もっと広い範囲のもの、山や谷、海などもしっかりと縮尺を出して作っている。玄人裸足。
これらの展示は、豊浦町(礼文華)資料館(旧中学校)にある。
他には、豊浦町道の駅にも。
      (木村記)

アルトリ岬周辺の自然 1.地形と地質   福田 茂夫   2013.12.18 UP 

 
アルトリ遠望
 1.地形と地質
 有珠地区は比較的単調な噴火湾の海岸の中で全体が湾内に突出しています。地区全域が約8000年前に起こった有珠山の山体崩壊によって生じた堆積物に覆われています。
 有珠地区全体に径数10〜数100m、高さ数m〜数10mの小丘が数多く散在しています。これらは皆、この時の堆積物で「岩屑(がんせつ)なだれ堆積物」と呼ばれ、丘は「流れ山」とも呼ばれます。
 アルトリ岬の丘もそうした1つで、特に最も沖合いまで突出しており、北西・南西側からよく見通せる位置にあります。(下へ)

 

 有珠湾や周辺の半島、島々もこれらの「流れ山」によって形成されました。
 これらの丘はかつて有珠山の一部であった溶岩や火山灰でできていますが、崩れ落ちる時に下にあった地層の一部を巻き込んだり、押し上げるように運んだものも見られます。
 有珠地区の沖合い数kmまで達したと考えられ、海底には夥しい岩石の堆積も見られます。そうした一部が海面上に岩礁となって頭を出しています。
 
有珠湾入り口


ふしぎな貝類の生態  福田茂夫 2013.11.5UP

 

砂もぐりの名人

 ナミガイやチシマガイは二枚の殻を合せると、前後が大きく開きます。まるでこわれた貝殻のように見えますが、この大きな開口部は海底に穴を掘るための足と、呼吸やえさを吸い込むための水管を出す部分です。

 海底から数10cmも深くもぐり、水管をのばして海底の穴から管の先を出しています。

アサリやハマグリはせいぜい5〜10cmていどですから簡単に掘り出すことができますが、チシマガイなどはスコップで大きく掘らなければ見つけ出せ




ません。

 沈木や柔らかい泥石などに穴を掘って生きているものもいます。北アメリカにすむテンシノツバサガイなどは大型で純白の美しい二枚貝ですが、岩の穴の中にすんでいるため簡単にその姿を見ることはできません。また、翼のように二枚の殻を広げることもできないのです。

 

    写真右 テンシノツバサガイ

  まるで天使が翼を広げたように見えることから  このような名が付けられました。英名も同意味のエンジェルズウイング

 
 

『アルトリ海岸の近況』 〜豊かな海の恵みに魅せられて〜  2013.10.12UP
                                                      南有珠  福田 茂夫

 9月末からおびただしい昆布が岬の西側海岸へ打ち上げられました。数日間連続で打ち上がったのですが、先に上がったものから順に腐ったり、波にちぎられて分解していきます。
 そこには無数の小さな甲殻類が群がり猛烈な勢いで砕けていく昆布に食らいついています。岩場に打ち上げられたものは小さな巻き貝やフナムシ、イソガ二などの格好なエサとなっています。
 そして、数日の間に海水はこれらの生物の混じり合った泥水のような色に変わります。しかし、これは単なる泥水ではありません。海の生物にとっては再生のための豊かな栄養となるのです。毎年この時期になると、こうしたことが繰り返されています。この圧倒されるような自然の営みを今年も味わうことができました。
 ちょうどこの頃、天を焦がす素晴らしい夕焼けを眺めることができます。9月末〜10月中旬の限られた条件の日だけの大スペクタクルです。

 

 


有珠アルトリ海岸ネイチャーハウス(その2)  福田茂夫 2013.9.13up

  展示内容 
 世界の貝類と噴火湾周辺の貝類
 有珠周辺の植物(写真パネル)
 有珠周辺の鳥類(写真パネル)
 アルトリ海岸の津波跡地層断面転写パネル
 岩石・火山灰等サンプル等


所蔵品
 ・世界の貝類
 ・化石類(北海道産アンモナイトを主とし海外産種
 を含む)
 ・岩石・鉱物等
 ・土器・石器等(南有珠6遺跡及び周辺の畑地等よ り出土) 


民俗資料展示状況
 ・民俗資料(明治〜昭和の民具等)
 ・古文書・古典籍(江戸時代の有珠会所関係文書、 大正〜昭和前期の教科書・雑誌類)
 
 


有珠アルトリ海岸ネイチャーハウス(その1)  福田茂夫  2013.8.24UP

 
 
有珠アルトリ海岸ネイチャーハウス


  アルトリ海岸周辺の自然や歴史に親しんでいただくこと
 を目的に平成24年5月に建設しました。
  世界の貝類や化石なども展示しています。
  海岸の散策などで疲れたときは、ここでのんびり潮の香り
 と潮騒を楽しみましょう。
  施設は無料で利用いただけますが、不定期で休館してい
 ますので、事前にご確認下さい。

                連絡先 0142(38)2593
                携帯090-2692−1673
                所在地 〒059-0156
                伊達市南有珠106
                    福田 茂夫
                       
 
 
 
  イソキソキ(アルトリ)岬遠景
カモメや小鳥たちの囀り。美しい世界の貝を眺めて気分転換、自然の造形美に感動と新たな好奇心をかき立ててくれる筈です。  


礼文華山道〜イザベラ・バード足跡ねて

 前日の予報から心配されていた天候も、早朝から快晴。豊浦町森林公園に集合して、バスで静狩側の入口へ移動。秋の気配が感じられる程度の木立の中を、進むと大きな沢が眼前に広がる。深く海へ落ち込んだ先の方に、秘境駅で名高い小幌駅が小さく見える。山側の数百万年前の溶岩流に感動。沢の斜面をへばりつくように旧国道を進むと、途中から尾根沿いの山道に入る。江戸時代の探検家や、イザベラ・バードも通った道かと思うと、感慨深い。柔らかな落ち葉が絨毯のように優しい。途中の広場で休憩と記念撮影。好天なら昆布岳と羊蹄山が並んで望めるのだが、天候は急変し、昆布岳の山頂がやっとかすんで見える程度。再び山道を散策し、旧国道から森林公園へ続く散策路へ。様々なキノコやヤマブドウに迎えられ、全員、無事森林公園へ帰還。 午後から希望者10数名は旧礼文華中学校の展示資料見学。ちょうど終わった頃から雨となる。幸運で充実した1日となった。      (10月14日豊浦町主催。福田茂夫 記)


   
 秘境小幌駅方面

 
 ニホンザリガニ
 
 ツルシキミの実

 
 ヤマシャクヤク実
 
 ズダヤクシュ実

 
 古道の割れる岩
 




         

噴火湾の貝類  福田茂夫

数千万年前にはこの地域はほとんどが海底で、現在の日本海北部の大陸の縁にありましたが、次第に南下し、海底火山が活発に活動していたようです。
100万年ほど前になると非常に寒冷化し、現在よりも寒かった時期もあったようです。

   海底火山の噴火 
このような活動に
よって陸地が誕生した

た、数万年前の氷河期には噴火湾は完全に干上がった状態になっていたと思われます。   
 1万8千年ほど前から急速に温暖化に向かい海水も湾内を満たし、6000年ほど前には現在よりも海面が2〜3m高くなりました。気候も温暖で本州中部のような状態になったと考えられます。現在では見られないハマグリ、ナガニシ、ウネナシトマヤガイなどが各地の貝塚から発見されています。
                 
 
その後、海面の低下と気候の寒冷化が起こり、現在の水準になりましたが、数百年間隔で寒暖を繰り返しているようです。現在は西暦1900年頃から温暖化が進行していると言われています。現在の噴火湾は周期的に暖流と寒流が入れ替わる特殊な海域です。表層は夏期間には23〜24℃になりますが、冬期間には3℃ぐらいまで下がります。
 また、
水質も夏〜秋に流れ込む対馬海流(暖流)と冬〜春に流れ込む千島海流(寒流)とでは栄養塩が大きく変化します。北方系の生物にとって夏場の環境は大きな障害になり、反対に南方系の生物には冬を越すことが難しくなります。
そのため、年毎に起こるわずかな海流の変化が生物相に大きな影響を与えます。           
                                                              
 現在の噴火湾にすむ貝類は寒流域に適応したものが主流となっています。ホタテガイやウバガイ、オオバンヒザラガイ、ツブと呼ばれているヒメエゾボラなどがその代表格でしょう。やや深い海域にはエゾボラやシライトマキバイ、アツエゾボラ、ヒゲマキナワボラ、オオエゾシワバイ、ネジボラなども見られます。

 
エゾボラ
 
アツエゾボラ
 
噴火湾にも棲息するクロアワビ
 
近年棲息が確認されたトリガイ
 
ヒメエゾボラ
 
今や噴火湾の顔となったホタテ

また、クロアワビやトリガイ、ミルクイ、アズマニシキなど暖流域の貝類もわずかながら見られます。これらは寒流の流入が弱い年が続くと増加し、強まると一時的に姿を消します。
 概ね噴火湾海域には約150〜200種程度の貝類が盛衰を繰り返しているものと
推測されます。近年、地球規模での温暖化が問題となっていますが、噴火湾周辺でもその影響と思われる現象が見られます。本州では鮨だねとして知られている二枚貝のトリガイがいますが、近年、津軽海峡に面した木古内周辺で定着し繁殖していることが判明しました。
 このトリガイは伊達市有珠沖でも20年ほど前から採集され、ではアルトリ海岸に時折貝殻が打ち上げられるようになりまし

 また、以前は極めて稀に発見されたアズマニシキガイも噴火湾内のホタテガイ養殖施設に付着しているのがよく見られます。

 前述の木古内周辺ではかつて本州中部以南に生息すると言われていたマツヤマワスレガイがかなりの頻度で発見されています。

 
噴火湾でも稀に発見されるミルクイ
 
近海で発見されたことのあるアカニシ

 その他、ヒラサザエ、ナガニシ、アカニシ、ベニシボリガイなどの温暖域の貝類に加え、南方系の代表貝のタカラガイの1種であるチャイロキヌタガイまでも発見されるようになっています。
 明らかに海の中でも温暖化は進行しているようです。いつの日か、噴火湾でもタカラガイやイモガイが生息するようになるのではと危惧せざるを得ません。
 その時、現在、全盛を誇っているホタテガイやウバガイなどは細々と生き永らえることができているのでしょうか。
 



                 
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