クリ(栗)       安藤 忍    2015.11.19

 
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クリが開花した。毎年秋、子どもたちとクリ拾いをする愛される樹である。実も大きく、公共施設内で庭もオープンなので、早朝ウオーキングの市民が拾っていく。だから、子どもたちとクリ拾いする場合は梯子をかけ、竿で振り落すので『痛い!』という叫び声が聞こえる楽しい行事である。

 

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クリの発芽は遅く、北海道湘南の伊達では6月下旬である。クリと言えば毬(いが)。すでに子どものころから毬が芽生えている。また、葉の鋸歯が針(芒のぎ)のように鋭い刺になっているのも特徴である。
 
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クリに人間が集まるように、動物も活発に動いている。アリマキ(アブラムシ)が樹液を吸いそれをアリがいただき、その代り、アリがアリマキを狙う肉食動物(テントウムシ)などを追い払う、そんな持ちつ持たれつの関係をつくっている。いいじゃないですか!(つづく)

 

カラマツ    安藤  忍           2015.10.12UP

 
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3月から見続けて7カ月。初秋を迎えました。茶色が濃くなりましたね
 
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実も茶色になりました。でも落ちません。
 
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樹の下にもタネが落ちています。強風が吹くと、球果をより速いスピードで通過するので真空状態になり、タネを引っ張るわけです。上手くできていますね。
 

河口砂州の成長、生物の攻防  安藤 忍   2015.9.9UP

 
 
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2013年9月24日に行った砂州上の植生調査で見つけた『フトイ』(カヤツリグサ科)が仲間を増やしている。ここは北海道伊達市2級河川・長流川(オサルガワ 長さ50km)の河口砂州汽水域である。バックは護岸工で、約1.5km上流域までコンクリートの壁で固められている。ここだけでみられる貴重な種である。

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汽水域には小魚が住んでいて、アオサギ、チュウサギ、カワセミもやって来る。近くでヒバリの繁殖もあり、アオダイショウもその臭いを嗅ぎつけた。綺麗な花がなく、テンキグサが柵となって人を寄せ付けず、ハマボウフウを2株増やし、3年目クロマツ(2本)、ナツグミ(2株)を成長させている。砂州の変化と植物の攻防が毎年繰り返され、下旬の植生調査が楽しみである。


庭の蜘蛛 安藤 忍  2015.8.23UP

 
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垣根として、我が家ではオンコ(イチイ)で周囲を一部囲っている。この時期になると、このオンコにクサグモが網を張る。北海道はこの朝、露が降り、白く浮きたった網が目撃された。『隙間に生きる植物』同様、『抜け目なく生きる動物』を庭に見たおもいである。

 
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そっと近づいてオンコの葉先を揺らすと、巣穴から姿を見せたクサグモ。『ウン?揺れ方が獲物ののようでないな〜?』と警戒し出てこない。恐らく『振幅が小さく、振動数が多い』のが獲物の揺れ方なのだろう。この網、どうやって張ったのか。庭の生き物、まだまだっ未知の世界である。


続カラマツ  安藤 忍  2015.7.31UP

 
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3月から見続けて、もう、4カ月になる。球果がたわわになった。エゾマツ・トドマツとは異なり数が多い。雨上がり、球果の鱗片に水がある。上を向いているからだ。
 
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一ついただいて剪定バサミで切ってみた。硬い。タネが見える。未熟のようだ。ソテツに似ている。

 
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鱗片の裏側を開いてみた。翼が未熟で壊れやすい。
 
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翼を引っ張るのではなく、未熟なタネをピンセットで取るとはがれやすい。9〜10月に成熟するという。指が粘々になる。松脂だ。

 カラマツ  安藤 忍   2015.6.24UP 

 
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なじみのカラマツだが、まず全体の姿から始めよう。ラクヨウとも呼ぶ。ラジオ番組でリスナーの手紙を読んだ時、「オチバキノコ」と聴いた。北海道ではラクヨウキノコ、通称「ラクヨウ」といって、カラマツの樹の下に出てくるのでわかりやすい。

 
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去年の秋できた球果だ。カラマツは北海道には自生していないが、耐朽性に優れているので線路の枕木、建築材、坑道の枠材として造林され今に至っている。マツ科の針葉樹だが、秋、葉が黄色くなって落ちる。
 
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1か月後の同じ樹のカラマツである。♂は雄花、♀は雌花。♀は大きく上を向き、♂は小さく横向きか下向きで遠慮がちだ。そして、花粉を放出するとやがて枯れていく(可哀そうに…)。
 
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葉が出てきた。身近い枝には一塊になりこの写真では40本以上の葉を出している。長い枝では束にはならない。極端な陽樹であり光合成が始まっている。おおよその樹齢は幹に出ている枝の数で推測できる。成長が速く、樹皮はザラザラ・鱗片状ではがれやすい。まだ、成熟した種子は出来ていない。

 
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昨年の球果と今年の球果が同居している。昨年の秋には、球果の一枚一枚の鱗片の隙間から種子が飛散したはずである。さて、これからどうなるか、またの機会に。

 

  お久しぶりです、こんにちは! 安藤 忍  2015.6.1UP

 
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北海道伊達市 谷藤川渓谷の早春。春の目覚めで起きたフキノトウ。
 
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北海道伊達市 館山下海岸で生きるオニグルミ。街のオニグルミとは訳が違う。厳しい環境の中で、1年間に伸びる間隔は短いけれど、帽子を取ってこんにちは。たくましいじゃない!


有珠山のエゾオオマルハナバチ    安藤 忍         2015.5.10UP

 
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4月29日、北海道伊達市の観光協会が主催する「有珠山山開き」が行われ、約100人が南登山口に集まった。有珠善光寺住職による安全祈願が行われ、関係者の挨拶が述べられた。仏師・円空は、1663年の大噴火の情報を聞き1666年にこの有珠山外輪山に登り、洞爺湖側に下りている。350年前の快挙である。彼を突き動かしたものは何か?
 
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外輪山での昼食時、私の目の前をエゾオオマルハナバチが通過しました。急いでカメラを手に取りシャッターを押したのですが間に合いませんでした。度々有珠山に登るが、まだ、セイヨウオオマルハナバチには出会っていない。

 
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未だ噴煙が立ち上る有珠山。右上の噴出している白い煙は1977年噴火の時のものだ。まだ400℃以上の高温を保っている。けれど、地域住民は火山をよく知り、いざという時に備えている。今、日本列島をめぐるプレートの活動が活発化している。しっかり勉強しておこう、みなさん!
 

 異常さの中の春! 安藤 忍  2015.4.22UP

 
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庭のエゾムラサキツツジ3輪が4月4日咲いた。過去の開花記録を紐解くとこの5年間では、2014年が17日、13年24日、12年24日、11年14日、10年26日。10年前の2005年は5月9日に雪景色になった。
温暖化が進んでいると確信し、3月15日に簡易アイゼンを持たずに「谷藤川渓谷」(北海道伊達市)へと行ってみた。モノクロの世界ではあるが、4時間半の往復行程は滑ることなく帰宅した。足元の温みを肌で感じた一日である。

 
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フキノトウ天婦羅が食いたいと本能的に感じた私たちは、再び渓谷へと行ってみた。二週間のうちに様相が一変していた。断崖で日陰となった道は、まだ残雪はあるが凍ってはいない。道端のフキノトウが黄色い顔を出していた。雪のないひなたを歩いていた時、越冬していたクジャクチョウが目の前を飛び去った。彼らも本能的に動き出していたということだ。春だ!

 
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そして5日後。カメラを片手に三度渓谷へと向かった。日陰には残雪はあるもののひなたは雪が消え、“氷瀑”は水がしたたり落ちている程度であった。クジャクチョウ(幼虫はイラクサ、ハルニレなどを食う)もやってきた。
すでに5号の台風の発生、しかも“スーパー台風”がフィリピンに向かったという。今年は温暖化で何か起りそうな気がする。アメリカもEU(28か国)も、そしてロシアも温室効果ガス排出削減の目標値(2020年以降)を国連に提出した。
中国も6月に出すという。世界第5位の排出国日本は提出を先送りするという。これも異常だ!


 氷柱が語るトリクルアップ  安藤 忍   2015.3.28UP

 
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昨年のホームページで、我が家の『氷柱』の記録をお知らせしました。2012年は18cm(『暖冬の冬』)、2013年は34cm(『12年より寒い』 いずれも1月16日)、2014年1月24日で最高の56cmを記録しました。真冬日が続く寒い冬と思ったら爆弾低気圧が通過し気温が急上昇、雨が降り氷柱は融け倒壊し消え去る、と思ったら再び寒波がやってきて2月11日には37cm、2月8日は東京で20年ぶり27cmの大雪となりました。身近な氷柱の成長から冬の季節の特徴がつかめるようです。
 
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今年の氷柱は、実は、初めて出来ました(北海道 伊達市)。しかも、こんな低さ7cm!そして雪がない!結局、今年は「氷柱が育たない冬」となりました。寒い時もあったのです。灯油の消費量も平年並みです。一体これは何なんだと考えた。爆弾低気圧が10個到来でこれも今までなかったこと。灯油が燃えてできた水滴が、「強い風」で飛ばされたのかもしれません。ウ〜ン、“格差拡大の異常気象”、これぞまさにトリクルダウンならぬ「トリクルアップ」ということか。

火山・白鳥・北斗星     安藤 忍    2015.2.11UP

  
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北海道伊達市に流れる長流川を、上野発の寝台特急『北斗星』が渡ります。この日は30分遅れて通過しました。「大潮、干潮時刻am7:33(室蘭)、晴れ、風力2、気温零下」の気象条件で、川に氷が張りオオハクチョウを鉄橋の近くに移動させました。有珠火山が背景にないのは残念でしたが、昭和の奇跡・昭和新山があるので「まあ、いいか」と撮影を終了させました。オオワシやオジロワシもハクチョウのそばにいたのですが、遠くから私の姿を見るなり『北斗星』通過直前に飛び立ち、またも残念!間もなく終わる北斗星の運行。もしかしたらこの映像は永久保存版になるかもしれませんね。
 

ゲリラ豪雨の贈り物  安藤 忍             2015.1.27UP

 
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温暖化に伴うとみられるゲリラ豪雨は川の様子を一変させます。北海道・伊達市を流れる2級河川「長流川」(おさるがわ 幅約200m 長さ約50km)の濁流です。40km上流で1時間80oの大雨が降りました。2014年9月11日、北海道・白老町では氾濫の危険が生じ「避難指示」が出されました。
 
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河口砂州の様子です。2012年5月に大きな低気圧によって樹木の倒壊、河岸崩落などの被害をもたらし、『ゲリラ豪雨』『爆弾低気圧』という言葉が使われはじめました。ゲリラ豪雨直後に河口砂州を歩いてみると水の力の凄さ、人間による廃棄物の色々、そして、動物たちの絶好の食餌場・・・など、見えない物を見せてくれる“展示場”となります。
 
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『ゲリラ豪雨』『爆弾低気圧』の到来は、この地方に強い南風をもたらし、高潮・高波によって海底をかき混ぜ、砂州上のよどみに大量の植物の遺骸を堆積させていきます。2013年春、爆弾低気圧によって遺骸が大量に堆積し、それが発酵して異臭が発生。風に乗って3km先の市街を覆い「何んだ、この臭い?」と市民を不安に陥れました。元をたどれば『爆弾低気圧』だったのです。
 

厳冬の海岸のお話し2015.01.09  安藤 忍   2015.1.13UP
 

 
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1月6〜7日、3000m上空−12℃の寒気が日本列島を覆い、この北海道・伊達市も強い西風が吹き荒れた。そして、心配していた護岸工の一部が崩壊した。建設終了後わずか20日目であった。「海岸侵食が進んでいる」が建設理由であったが、賛成「(建設業者にお金が入り)地域がうるおう」、反対「侵食は進んでいない」で、例のごとく説明会は大いに白熱した議論となった。2014年7月15日、現地事務所が開設され12月19日終了した。
 
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ところが、たびたび訪れる冬の爆弾低気圧が、次第に砂浜を侵食していった。この地域では見られない工法・被覆ブロック(1枚6トン 合計54枚を護岸工前に設置)を見て『なぜかぶせたのか』『いずれずり落ちる』と海を知る人たちは話し合っていたが、こんなに早く崩壊するとは…と驚いた。
 
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コンクリートなどの人工物が海に突き出ていると、季節風による波の向きの違いで、左右の違いが顕著に表れる(この場合は冬 右:堆積、左:侵食)。この突堤は(テトラポッド突堤)、砂浜の砂の流出を防ぐ工法として40年前に2kmにわたって約20か所に設置された。しかしこの海岸では効果がないことが明らかとなっている。※侵食でテトラポッドが沈んでいったから
 
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夏の季節風が終わる頃の同じ場所である。季節風と波は冬とは逆になっている。左奥、沖の方から浮いたクジラの死骸が風に押され、波と共に人工物の左側に“堆積”したことを示す。波は人工物の先端で屈折し速さを増して右側の海岸を洗い侵食していく。海岸線は、長い年月をかけて継続調査し判断することが必要なのだ。

続々 命をつなぐ   安藤 忍              2014.12.18UP

 
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北海道伊達市街の一角で拾った銀杏である。この銀杏は粒が大きいこと、街なかにあることから人気があるが、それは知る人ぞ知るの話である。今年は雄の個数が多く、雌は158個中6個だった(いつもは2〜3個 写真の6個は三角形をしている)。雄と雌の樹があるのを知らない人も多い。つまり、雌雄別々のタネがあることを知らないからだ。恐竜が出現する前から生育していたツワモノである。

 訂正いたしました。
 誤 雌の個数が多く
 正 雄の個数が多く

 

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この写真は、大都市・札幌 道庁前の街路樹である。銀杏がたわわに実っている。その下をいそいそと労働者が通過する。落下している銀杏を踏みつけ、靴の底にへばりついた臭いを職場に持ち込んだらたいへん。それを知っている人はこの歩道を通らない。なるほど、2億5000年前から生きているイチョウの巧みな戦略、それは『臭い』だったのだ。
(雌の木)
 
 
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伊達市内東に有珠という街があり、この街に有珠善光寺がある(建立・文化元年1804年)。写真のイチョウはそれ以前からあり、推定樹齢約300年である。写真のイチョウには銀杏ができないので「雄」。この樹の隣に雌があり、多数の銀杏を落としている。(ちなみに雄の木は銀杏を付けない)

続 命をつなぐ    安藤 忍   2014.12.9UP

 
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北海道伊達市館山の丘の一角で、黄色い花を咲かせている潅木をみつけた。遠くから近づいてみた。緑と赤の葉、そして黄色の花、今時何なんだ?花を覗くと雄蕊がない!枝先を折ってみた。ウ〜ン?中空だ。図鑑を調べてみた。エ〜ッ、レンギョウ(モクセイ科 雌雄異株)?寒暖の差が激しく、生き物を狂わせているようだ。
 
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日本海で発達した低気圧がこの地にやってきた。気圧960hPa。海岸は風力6〜7(大枝が動き電線が鳴る 風に向かって歩きにくい)の西風が吹き荒れた(満潮時刻 室蘭12:40)。10月28日には室蘭沖5kmで竜巻が発生した。この日もカメラのレンズに容赦なく潮飛沫がかかる。そして、カメラを止めることができない。こんな中で、漁師は砂丘を信頼し休漁日をやり過ごす。彼らは、ずっと以前から地球温暖化を感じているのだ。
 
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今、秋サケ漁の最盛期。やがて冬の季節を迎える。南風で堆積したこの浜の砂が侵食されるのは冬である。漁師たちはそんな生々流転の砂浜を見つめ、砂浜を歩き、凪をみはからって船を出す。そんな時、砂浜には50人以上のサケ釣り人が群がり技を競う。子ども・親戚・知り合いにお裾分けするそうである。