北海道新聞11/30  福田茂夫           2014.12.20UP                  

 
 

小幌海岸探索会 豊浦町教育委員会主催 5/10の様子 2014.6.5up  写真と説明木村

 

全国の3本指にはいる 秘境の駅「小幌」
 
 案内をする福田さん
 
オオカメノキ     シラネアオイも道々に。
 
文太郎浜


 豊浦町の資料館(元礼文華中学校) 殆ど、福田茂夫さん独力の作業で     2014.4.8UP

 

 資料館の圧巻は貝の部屋 福田さん収集のもの
 
 貝の一部



 資料館入り口で説明する福田さん
 

福田さん作成のジオラマ 精密そのもの 羊蹄山・洞爺湖・噴火湾
大きさは3畳
 
福田さん作成5m程度の大きさ
 
 上から見る


福田さん自作のジオラマ(立体模型地図)    2014.2.1UP






 福田さんのジオラマの紹介です。
この写真は豊浦の漁業の説明用。
他に豊浦町全体のもの、もっと広い範囲のもの、山や谷、海などもしっかりと縮尺を出して作っている。玄人裸足。
これらの展示は、豊浦町(礼文華)資料館(旧中学校)にある。
他には、豊浦町道の駅にも。
      (木村記)

アルトリ岬周辺の自然 1.地形と地質   福田 茂夫   2013.12.18 UP 

 
アルトリ遠望
 1.地形と地質
 有珠地区は比較的単調な噴火湾の海岸の中で全体が湾内に突出しています。地区全域が約8000年前に起こった有珠山の山体崩壊によって生じた堆積物に覆われています。
 有珠地区全体に径数10〜数100m、高さ数m〜数10mの小丘が数多く散在しています。これらは皆、この時の堆積物で「岩屑(がんせつ)なだれ堆積物」と呼ばれ、丘は「流れ山」とも呼ばれます。
 アルトリ岬の丘もそうした1つで、特に最も沖合いまで突出しており、北西・南西側からよく見通せる位置にあります。(下へ)

 

 有珠湾や周辺の半島、島々もこれらの「流れ山」によって形成されました。
 これらの丘はかつて有珠山の一部であった溶岩や火山灰でできていますが、崩れ落ちる時に下にあった地層の一部を巻き込んだり、押し上げるように運んだものも見られます。
 有珠地区の沖合い数kmまで達したと考えられ、海底には夥しい岩石の堆積も見られます。そうした一部が海面上に岩礁となって頭を出しています。
 
有珠湾入り口


ふしぎな貝類の生態  福田茂夫 2013.11.5UP

 

砂もぐりの名人

 ナミガイやチシマガイは二枚の殻を合せると、前後が大きく開きます。まるでこわれた貝殻のように見えますが、この大きな開口部は海底に穴を掘るための足と、呼吸やえさを吸い込むための水管を出す部分です。

 海底から数10cmも深くもぐり、水管をのばして海底の穴から管の先を出しています。

アサリやハマグリはせいぜい5〜10cmていどですから簡単に掘り出すことができますが、チシマガイなどはスコップで大きく掘らなければ見つけ出せ




ません。

 沈木や柔らかい泥石などに穴を掘って生きているものもいます。北アメリカにすむテンシノツバサガイなどは大型で純白の美しい二枚貝ですが、岩の穴の中にすんでいるため簡単にその姿を見ることはできません。また、翼のように二枚の殻を広げることもできないのです。

 

    写真右 テンシノツバサガイ

  まるで天使が翼を広げたように見えることから  このような名が付けられました。英名も同意味のエンジェルズウイング

 
 

『アルトリ海岸の近況』 〜豊かな海の恵みに魅せられて〜  2013.10.12UP
                                                      南有珠  福田 茂夫

 9月末からおびただしい昆布が岬の西側海岸へ打ち上げられました。数日間連続で打ち上がったのですが、先に上がったものから順に腐ったり、波にちぎられて分解していきます。
 そこには無数の小さな甲殻類が群がり猛烈な勢いで砕けていく昆布に食らいついています。岩場に打ち上げられたものは小さな巻き貝やフナムシ、イソガ二などの格好なエサとなっています。
 そして、数日の間に海水はこれらの生物の混じり合った泥水のような色に変わります。しかし、これは単なる泥水ではありません。海の生物にとっては再生のための豊かな栄養となるのです。毎年この時期になると、こうしたことが繰り返されています。この圧倒されるような自然の営みを今年も味わうことができました。
 ちょうどこの頃、天を焦がす素晴らしい夕焼けを眺めることができます。9月末〜10月中旬の限られた条件の日だけの大スペクタクルです。

 

 


有珠アルトリ海岸ネイチャーハウス(その2)  福田茂夫 2013.9.13up

  展示内容 
 世界の貝類と噴火湾周辺の貝類
 有珠周辺の植物(写真パネル)
 有珠周辺の鳥類(写真パネル)
 アルトリ海岸の津波跡地層断面転写パネル
 岩石・火山灰等サンプル等


所蔵品
 ・世界の貝類
 ・化石類(北海道産アンモナイトを主とし海外産種
 を含む)
 ・岩石・鉱物等
 ・土器・石器等(南有珠6遺跡及び周辺の畑地等よ り出土) 


民俗資料展示状況
 ・民俗資料(明治〜昭和の民具等)
 ・古文書・古典籍(江戸時代の有珠会所関係文書、 大正〜昭和前期の教科書・雑誌類)
 
 


有珠アルトリ海岸ネイチャーハウス(その1)  福田茂夫  2013.8.24UP

 
 
有珠アルトリ海岸ネイチャーハウス


  アルトリ海岸周辺の自然や歴史に親しんでいただくこと
 を目的に平成24年5月に建設しました。
  世界の貝類や化石なども展示しています。
  海岸の散策などで疲れたときは、ここでのんびり潮の香り
 と潮騒を楽しみましょう。
  施設は無料で利用いただけますが、不定期で休館してい
 ますので、事前にご確認下さい。

                連絡先 0142(38)2593
                携帯090-2692−1673
                所在地 〒059-0156
                伊達市南有珠106
                    福田 茂夫
                       
 
 
 
  イソキソキ(アルトリ)岬遠景
カモメや小鳥たちの囀り。美しい世界の貝を眺めて気分転換、自然の造形美に感動と新たな好奇心をかき立ててくれる筈です。  


礼文華山道〜イザベラ・バード足跡ねて

 前日の予報から心配されていた天候も、早朝から快晴。豊浦町森林公園に集合して、バスで静狩側の入口へ移動。秋の気配が感じられる程度の木立の中を、進むと大きな沢が眼前に広がる。深く海へ落ち込んだ先の方に、秘境駅で名高い小幌駅が小さく見える。山側の数百万年前の溶岩流に感動。沢の斜面をへばりつくように旧国道を進むと、途中から尾根沿いの山道に入る。江戸時代の探検家や、イザベラ・バードも通った道かと思うと、感慨深い。柔らかな落ち葉が絨毯のように優しい。途中の広場で休憩と記念撮影。好天なら昆布岳と羊蹄山が並んで望めるのだが、天候は急変し、昆布岳の山頂がやっとかすんで見える程度。再び山道を散策し、旧国道から森林公園へ続く散策路へ。様々なキノコやヤマブドウに迎えられ、全員、無事森林公園へ帰還。 午後から希望者10数名は旧礼文華中学校の展示資料見学。ちょうど終わった頃から雨となる。幸運で充実した1日となった。      (10月14日豊浦町主催。福田茂夫 記)


   
 秘境小幌駅方面

 
 ニホンザリガニ
 
 ツルシキミの実

 
 ヤマシャクヤク実
 
 ズダヤクシュ実

 
 古道の割れる岩
 




         

噴火湾の貝類  福田茂夫

数千万年前にはこの地域はほとんどが海底で、現在の日本海北部の大陸の縁にありましたが、次第に南下し、海底火山が活発に活動していたようです。
100万年ほど前になると非常に寒冷化し、現在よりも寒かった時期もあったようです。

   海底火山の噴火 
このような活動に
よって陸地が誕生した

た、数万年前の氷河期には噴火湾は完全に干上がった状態になっていたと思われます。   
 1万8千年ほど前から急速に温暖化に向かい海水も湾内を満たし、6000年ほど前には現在よりも海面が2〜3m高くなりました。気候も温暖で本州中部のような状態になったと考えられます。現在では見られないハマグリ、ナガニシ、ウネナシトマヤガイなどが各地の貝塚から発見されています。
                 
 
その後、海面の低下と気候の寒冷化が起こり、現在の水準になりましたが、数百年間隔で寒暖を繰り返しているようです。現在は西暦1900年頃から温暖化が進行していると言われています。現在の噴火湾は周期的に暖流と寒流が入れ替わる特殊な海域です。表層は夏期間には23〜24℃になりますが、冬期間には3℃ぐらいまで下がります。
 また、
水質も夏〜秋に流れ込む対馬海流(暖流)と冬〜春に流れ込む千島海流(寒流)とでは栄養塩が大きく変化します。北方系の生物にとって夏場の環境は大きな障害になり、反対に南方系の生物には冬を越すことが難しくなります。
そのため、年毎に起こるわずかな海流の変化が生物相に大きな影響を与えます。           
                                                              
 現在の噴火湾にすむ貝類は寒流域に適応したものが主流となっています。ホタテガイやウバガイ、オオバンヒザラガイ、ツブと呼ばれているヒメエゾボラなどがその代表格でしょう。やや深い海域にはエゾボラやシライトマキバイ、アツエゾボラ、ヒゲマキナワボラ、オオエゾシワバイ、ネジボラなども見られます。

 
エゾボラ
 
アツエゾボラ
 
噴火湾にも棲息するクロアワビ
 
近年棲息が確認されたトリガイ
 
ヒメエゾボラ
 
今や噴火湾の顔となったホタテ

また、クロアワビやトリガイ、ミルクイ、アズマニシキなど暖流域の貝類もわずかながら見られます。これらは寒流の流入が弱い年が続くと増加し、強まると一時的に姿を消します。
 概ね噴火湾海域には約150〜200種程度の貝類が盛衰を繰り返しているものと
推測されます。近年、地球規模での温暖化が問題となっていますが、噴火湾周辺でもその影響と思われる現象が見られます。本州では鮨だねとして知られている二枚貝のトリガイがいますが、近年、津軽海峡に面した木古内周辺で定着し繁殖していることが判明しました。
 このトリガイは伊達市有珠沖でも20年ほど前から採集され、ではアルトリ海岸に時折貝殻が打ち上げられるようになりまし

 また、以前は極めて稀に発見されたアズマニシキガイも噴火湾内のホタテガイ養殖施設に付着しているのがよく見られます。

 前述の木古内周辺ではかつて本州中部以南に生息すると言われていたマツヤマワスレガイがかなりの頻度で発見されています。

 
噴火湾でも稀に発見されるミルクイ
 
近海で発見されたことのあるアカニシ

 その他、ヒラサザエ、ナガニシ、アカニシ、ベニシボリガイなどの温暖域の貝類に加え、南方系の代表貝のタカラガイの1種であるチャイロキヌタガイまでも発見されるようになっています。
 明らかに海の中でも温暖化は進行しているようです。いつの日か、噴火湾でもタカラガイやイモガイが生息するようになるのではと危惧せざるを得ません。
 その時、現在、全盛を誇っているホタテガイやウバガイなどは細々と生き永らえることができているのでしょうか。
 



                 
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