火山・白鳥・北斗星     安藤 忍    2015.2.11UP

  
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北海道伊達市に流れる長流川を、上野発の寝台特急『北斗星』が渡ります。この日は30分遅れて通過しました。「大潮、干潮時刻am7:33(室蘭)、晴れ、風力2、気温零下」の気象条件で、川に氷が張りオオハクチョウを鉄橋の近くに移動させました。有珠火山が背景にないのは残念でしたが、昭和の奇跡・昭和新山があるので「まあ、いいか」と撮影を終了させました。オオワシやオジロワシもハクチョウのそばにいたのですが、遠くから私の姿を見るなり『北斗星』通過直前に飛び立ち、またも残念!間もなく終わる北斗星の運行。もしかしたらこの映像は永久保存版になるかもしれませんね。
 

ゲリラ豪雨の贈り物  安藤 忍             2015.1.27UP

 
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温暖化に伴うとみられるゲリラ豪雨は川の様子を一変させます。北海道・伊達市を流れる2級河川「長流川」(おさるがわ 幅約200m 長さ約50km)の濁流です。40km上流で1時間80oの大雨が降りました。2014年9月11日、北海道・白老町では氾濫の危険が生じ「避難指示」が出されました。
 
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河口砂州の様子です。2012年5月に大きな低気圧によって樹木の倒壊、河岸崩落などの被害をもたらし、『ゲリラ豪雨』『爆弾低気圧』という言葉が使われはじめました。ゲリラ豪雨直後に河口砂州を歩いてみると水の力の凄さ、人間による廃棄物の色々、そして、動物たちの絶好の食餌場・・・など、見えない物を見せてくれる“展示場”となります。
 
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『ゲリラ豪雨』『爆弾低気圧』の到来は、この地方に強い南風をもたらし、高潮・高波によって海底をかき混ぜ、砂州上のよどみに大量の植物の遺骸を堆積させていきます。2013年春、爆弾低気圧によって遺骸が大量に堆積し、それが発酵して異臭が発生。風に乗って3km先の市街を覆い「何んだ、この臭い?」と市民を不安に陥れました。元をたどれば『爆弾低気圧』だったのです。
 

厳冬の海岸のお話し2015.01.09  安藤 忍   2015.1.13UP
 

 
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1月6〜7日、3000m上空−12℃の寒気が日本列島を覆い、この北海道・伊達市も強い西風が吹き荒れた。そして、心配していた護岸工の一部が崩壊した。建設終了後わずか20日目であった。「海岸侵食が進んでいる」が建設理由であったが、賛成「(建設業者にお金が入り)地域がうるおう」、反対「侵食は進んでいない」で、例のごとく説明会は大いに白熱した議論となった。2014年7月15日、現地事務所が開設され12月19日終了した。
 
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ところが、たびたび訪れる冬の爆弾低気圧が、次第に砂浜を侵食していった。この地域では見られない工法・被覆ブロック(1枚6トン 合計54枚を護岸工前に設置)を見て『なぜかぶせたのか』『いずれずり落ちる』と海を知る人たちは話し合っていたが、こんなに早く崩壊するとは…と驚いた。
 
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コンクリートなどの人工物が海に突き出ていると、季節風による波の向きの違いで、左右の違いが顕著に表れる(この場合は冬 右:堆積、左:侵食)。この突堤は(テトラポッド突堤)、砂浜の砂の流出を防ぐ工法として40年前に2kmにわたって約20か所に設置された。しかしこの海岸では効果がないことが明らかとなっている。※侵食でテトラポッドが沈んでいったから
 
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夏の季節風が終わる頃の同じ場所である。季節風と波は冬とは逆になっている。左奥、沖の方から浮いたクジラの死骸が風に押され、波と共に人工物の左側に“堆積”したことを示す。波は人工物の先端で屈折し速さを増して右側の海岸を洗い侵食していく。海岸線は、長い年月をかけて継続調査し判断することが必要なのだ。

続々 命をつなぐ   安藤 忍              2014.12.18UP

 
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北海道伊達市街の一角で拾った銀杏である。この銀杏は粒が大きいこと、街なかにあることから人気があるが、それは知る人ぞ知るの話である。今年は雄の個数が多く、雌は158個中6個だった(いつもは2〜3個 写真の6個は三角形をしている)。雄と雌の樹があるのを知らない人も多い。つまり、雌雄別々のタネがあることを知らないからだ。恐竜が出現する前から生育していたツワモノである。

 訂正いたしました。
 誤 雌の個数が多く
 正 雄の個数が多く

 

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この写真は、大都市・札幌 道庁前の街路樹である。銀杏がたわわに実っている。その下をいそいそと労働者が通過する。落下している銀杏を踏みつけ、靴の底にへばりついた臭いを職場に持ち込んだらたいへん。それを知っている人はこの歩道を通らない。なるほど、2億5000年前から生きているイチョウの巧みな戦略、それは『臭い』だったのだ。
(雌の木)
 
 
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伊達市内東に有珠という街があり、この街に有珠善光寺がある(建立・文化元年1804年)。写真のイチョウはそれ以前からあり、推定樹齢約300年である。写真のイチョウには銀杏ができないので「雄」。この樹の隣に雌があり、多数の銀杏を落としている。(ちなみに雄の木は銀杏を付けない)

続 命をつなぐ    安藤 忍   2014.12.9UP

 
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北海道伊達市館山の丘の一角で、黄色い花を咲かせている潅木をみつけた。遠くから近づいてみた。緑と赤の葉、そして黄色の花、今時何なんだ?花を覗くと雄蕊がない!枝先を折ってみた。ウ〜ン?中空だ。図鑑を調べてみた。エ〜ッ、レンギョウ(モクセイ科 雌雄異株)?寒暖の差が激しく、生き物を狂わせているようだ。
 
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日本海で発達した低気圧がこの地にやってきた。気圧960hPa。海岸は風力6〜7(大枝が動き電線が鳴る 風に向かって歩きにくい)の西風が吹き荒れた(満潮時刻 室蘭12:40)。10月28日には室蘭沖5kmで竜巻が発生した。この日もカメラのレンズに容赦なく潮飛沫がかかる。そして、カメラを止めることができない。こんな中で、漁師は砂丘を信頼し休漁日をやり過ごす。彼らは、ずっと以前から地球温暖化を感じているのだ。
 
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今、秋サケ漁の最盛期。やがて冬の季節を迎える。南風で堆積したこの浜の砂が侵食されるのは冬である。漁師たちはそんな生々流転の砂浜を見つめ、砂浜を歩き、凪をみはからって船を出す。そんな時、砂浜には50人以上のサケ釣り人が群がり技を競う。子ども・親戚・知り合いにお裾分けするそうである。